妻・良子が語る
人間「盛田昭夫」の素顔

妻・良子が昭夫と共に過ごした日々や想い出の写真秘話を語ります

vol.5

キッシンジャーさんとロバート・ワグナー夫妻との想い出

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ある日、昭夫の友人でもある元米国務長官のキッシンジャーさんから「週末遊びに来ないか」とお誘いを受け、昭夫と私はアメリカ・コネチカット州の彼の別荘へ遊びに行くことにしました。郊外にある大変大きな素敵な邸宅でした。
外国の人々は、まず親しくなると自分達の属しているエクスクルーシブなクラブのランチに、そしてディナーにと呼んで下さいます。そして次に街にある自宅のアパートへ、それ以上に親しくなると別荘に招かれ泊めて下さいます。これが彼らの最高のもてなしです。

別荘には、ロバート・ワグナーさん(俳優)とナタリー・ウッドさん(女優)ご夫妻も招待されていて、彼らも一緒に宿泊いたしました。このスナップは、その時記念に撮影したものです。

この日は夕飯後、遅くまでみんなで楽しく語らいました。政治や経済の話ばかりではなく、趣味や映画、映画用の新機材の話など、色々な話題で大いに盛り上がりました。

キッシンジャーさんは、大変なサッカー好きで、ワールドカップはどこへでも行き観戦するほどでした。以前、昭夫は、彼のワールドカップ観戦にと、ソニーで1番大きなテレビが出来た時にそれを彼にプレゼントしました。彼の自宅(ニューヨーク・マンハッタン)の書斎に設置し、いつもサッカーを楽しんでいる、などと言う話もしていた記憶があります。

翌朝は、別荘の近くのキッシンジャーさんが支援していた彫刻家のアトリエなどの見学に行ったりもしました。
後日、ロバート・ワグナーさんが、ニューヨークの私共のアパートに遊びに来られました。彼は、本当に心細やかでとても気配りをされるジェントルマンで、その時も私へのプレゼントとしてフラワーアート(写真右)を持って来てくださいました。
11月で寒かったこともあり、ロバート・ワグナーさんが、「あなた達にぜひプレゼントしたい!」と、彼自身、床に跪いて紙の上にのせた私の足型をとり、後日、昭夫と私とお揃いのムートンの暖かい部屋履き(写真左)を作って贈って下さいました。それは、今でも大切に履いていて、毎年冬になると彼のことを思い出しながら、暖かい時を過ごしております。

2009年 4月24日 盛田良子 記

  • ヘンリー・キッシンジャー(1923〜)

    米国のニクソン政権およびフォード政権期の国家安全保障問題担当大統領補佐官、国務長官。国際政治学者。1973年、ノーベル平和賞受賞。

  • ロバート・ワグナー(1930〜)

    米国の俳優・映画プロデューサー。1950年代から息の長い活動を続けるダンディな演技派俳優で、「タワーリング・インフェルノ」「ピンクの豹」など出演作多数。

  • ナタリー・ウッド(1938〜1981)

    米国の女優。1943年に映画デビュー。1947年の「三十四丁目の奇蹟」で人気スターとなる。1955年の「理由なき反抗」でアカデミー助演女優賞にノミネート。1981年、映画撮影中に事故死。

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